日曜アーティストのTOMAKIです。2019年10月から11月にかけて中銀カプセルタワーに住んでいました。面白い場所ですね、ここは。
黒川紀章さんが設計した、「メタボリズム」というコンセプトにのっとって、ひとつひとつのカプセルが交換されたり増殖したりして「新陳代謝」することを目指してつくられたビルでし。残念ながら、1972年の竣工から2022年の解体まで、カプセル自体が交換されることはなかったですが。
私がここに住んでいたのは、築48年の頃。カプセルの耐用年数が約25年ということで、かなりあちこちガタがきていたようですが、不思議なことにそれも魅力のひとつ。古い昭和の建物特有なあの雰囲気と匂い。それでいて、内装や家具なんかは妙に近未来感があって。大きな丸窓と、開閉式のデスクと、ユニットバス。セントラルヒーティングの空調はとっくの昔に壊れていて、しばらく前からお湯も出なくなり。静かな雨の日はコアシャフトの方から雨漏りの音が響いてくる。
窓から外を眺めると、いつもいろんな人たちが入れ代わり立ち代わりこのビルを見上げ、写真を撮って、そして立ち去っていくのが見える。一時期、民泊ができるカプセルがあって、それが外国人観光客の人たちにとても人気がありました。ハリウッド俳優や、超有名な映画監督の方も、日本に来た時はこのビルを見学しに来たそうですよ。
ここに住んでいる人たちもとても個性的で素敵な人たちが多く、「縦に並ぶ長屋のような建物」という表現がぴったり。決して住みやすい建物ではないのですが、なぜかとても居心地が良かったです。わずか10平米のコンパクトなカプセル空間の中で、いろんなプロジェクトを実行しつつ、たくさんの人たちと交流し、世界がどんどん広がっていきました。
2022年5月8日に、埼玉県立近代美術館で「中銀カプセルタワービルを知る!」という友の会に向けた講演会に登壇する機会があり、その時に持参した
カプセルの形をした5センチの箱のテンプレートをこのページからダウンロードできるようにしました。自由につくってください。
作り方はブログで紹介しています。
また、私が4月に上梓した『
日曜アーティストの脳内回顧展』という、過去四半世紀にわたる創作活動の備忘録的なアーカイブをまとめたKindle本のリンクも貼っておきます。中銀カプセルタワービルでの活動も、そちらに詳しく書いてあります。
そして、「
クリエイティブ脳を育てる 大人の遊び場」というnoteのサークルを主宰しているので、よろしければそちらもどうぞ。不定期に開催している勉強会などの企画をそちらでご案内しています。
中銀カプセルタワービルは、2022年4月12日より解体工事がはじまりました。あの銀座八丁目の地からあのカプセルの建物はなくなりますが、カプセル自体はいくつか移転して再生される計画もあるようです。今後も、このカプセルの行方をずっと見守っていきたいと思っています。
日曜アーティスト TOMAKI
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